みなさん、こんにちは!こんばんは!
デザイナー&ばななたろうの作家として活動している『ひらつかかつじ』です。

私が初めて自分で絵本を作ったのは、学生の頃の話です。
その頃のどうやって『絵本 ばななたろう』を考えついたかは覚えていないのですが、フリーランスになってからイベントやオンラインショップで販売して約100冊(2022.6月現在)をお客さんに届けることができました。

このブログを書いている現時点では、自分描いた絵本を書店に並べる夢というのは叶えられていませんが、この夢を叶えるためにも今後も活動していきたいと思っています。

編集者さん、出版社さん、ご連絡お待ちしています(笑)

実は先日、『絵本 ばななたろう』の2作目『絵本 ばななたろう2』の制作が終わり、デザインフェスタで販売させていただきました。
『絵本 ばななたろう』を買っていただいたお客さんが2作目を買っていただくことが多かったのですが、その場で立ち読みをして1作目、2作目を一緒に買っていくお客さんもいたのが、本当に嬉しかったです。
絵本作家としては、独学で勉強していて経験も浅いですが、デザイナーとしての経験は10年以上あります。

『絵本作家』の単体で考えると少し弱いかもしれませんが、『絵本作家+デザイナー』という組み合わせで考えると少し強みがあるのかなぁと思います。

今回はそんな私の絵本の作り方をちょっと恥ずかしいですが、公開していこうと思います。
私も自分で作ってみたい!という方の参考になれば嬉しいです。

絵本は何で作っているの?

私の絵本は主に『デジタル』で描いています。

アナログで作る風合いというのもとても魅力的に思いますが、作業効率が悪いのが一番のデメリットではないでしょうか。
デジタルの場合では絵を間違ってしまった時も、修正があった時も、背景だけ別のものにしたいという時もパパッと作業ができてしまいます。

最近の『お絵描きアプリ』は絵の具のにじみ具合、厚塗りもAIによって再現されるので、アナログかデジタルの違いがわからないレベルになっています。
私が絵を描いているソフト(アプリ)は、『Adobe Fresco(アドビ フレスコ)』というものです。

デザイナーとしても活動しているので、『Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター)』『Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)』をよく使います。
私はすべてのソフト、アプリが使える『コンプリートプラン』に加入しているので、どうせ契約しているなら同じAdobe製品を使おうと思い『Adobe Fresco(アドビ フレスコ)』にしました。『CLIP STUDIO PAINT』でも『Procreate』でも好きなものいいかと思います。

制作工程を大きく3段階でまとめるとこのような感じです。

1.アイデア、ラフを作る(アナログ)
 →紙、ペン、スマホのメモ機能
2.絵を描く(iPad)
 →iPad、Adobe Fresco
3.文字を入れる、レイアウトする(PC)
 →Mac、Adobe Illustrator、Adobe Photoshop

 

私が使っているのは『iPad Air(第4世代)』+『Apple Pencil(第2世代)』の組み合わせで絵を描いています。
保護フィルムは必須になりますが、エレコムの金属のペン先が個人的には使いやすいです。



制作の手順

私の場合は10のステップで進めていくようにしています。

Step1.テーマを決める
Step2.スマホのメモ機能にページごとの内容を書いていく
Step3.起承転結に落とし込んでみる
Step4.絵のラフを考える
Step5.文章を入れたものを誰かに見てもらう
Step6.意見をもとに伝わりにくいところを調整する
Step7.絵を制作する(iPad)
Step8.イラストを調整して、Adobe Illustratorでレイアウト(PC)
Step9.全体を誰かに見てもらって、最終調整へ
Step10.入稿データを作って印刷会社で印刷

 

Step1.テーマを決める

私の制作手順としてはデザイン制作と同じように『さあ、絵を描いてみよう!』とはならず、まずは軸の部分を固めて作っていくやり方です。
デザインを制作する上でも、ターゲットは誰なのか、何を伝えたいのか、その上でどういった構成が必要なのかなどを考えます。
そのベースを理論的に固めていくことで、制作中も大きく脱線しなくなりスムーズに進めることができます。
大きめな紙(コピー用紙でOK)にどんどん書いていって、頭を整理させていくのがおすすめです。

3歳以下の子ども向けであれば、ページ数が少ないもの(16ページ)、4歳以上の子ども向けであればページ数を多くする(32ページ)。
16の倍数で作ることが多いようです(出版社のサイトを参照)。
基本的には4の倍数で作っていけば本としては成り立つので、読者に合わせて決めていきます。

Step2.スマホのメモ機能にページごとの内容を書いていく

スマホのメモ機能に内容を書いていきます。
紙に書くのもよいですが、移動先でもどこでもスマホって持ち歩いていますよね?
トイレにいる時も、待ち時間の時もアイデアを書いていけるのでおすすめです。

まずは箇条書きで大丈夫です。
書いたらページ(見開き)ごとに、落とし込んでみます。

Step3.起承転結に落とし込んでみる

起承転結は必ずしも必要ということはないですが、物語が伝わりやすくなります。
また、この方法を使うことで物語にメリハリが生まれてきます。
平坦な道のジェットコースターでは面白くないですよね?
人気の絵本のどこが『転』なのか、どのページで『結』なのかなど、ページの構成を考えながら見てみると参考になったりします。

Step4.絵のラフを考える

ここでようやく絵を描いていきます。
でも、描くのはまだラフです。
ページの構成や、メリハリを考えながら描いていきます。

私の絵本の場合は、すべてのページを見開きでいっぱいの絵にはしていません。
メリハリを意識して、片面を文章、片面を絵にして次のページで見開きでインパクトのある絵を描くということをしたりします。
絵本によってさまざまなので、意図して作っていけばよいかと思います。

『えんとつ町のプペル』は正方形の絵本で、片面に文章、片面に絵でほとんどのページを構成しています。
これはインスタグラムの仕様に合わせたもののようですね。
また『パンどろぼう』では見開きいっぱいに絵を使って構成しています。
『起』『承』のところまでは、温かい色味で構成されていますが、『転』のところで配色を寒色(青)に大きく変えています。
さらに絵のインパクトもすごいので子どもも笑ってしまう仕掛けなのです。



Step5.文章を入れたものを誰かに見てもらう

自分一人で制作している人はすごく大事です。

自分だけで進めていると自分しかわからない表現をしていたりする可能性があります。
絵本はさまざまな人が読みますので、最初に決めたテーマに沿っているのか、読者がきちんと理解できる内容か、きちんと伝わるかを少し軌道修正をしていく必要があります。

自分ではわからない部分は、他の人が気がついてくれるかもしれません。
私はひとりで作っていると物語が理解できない領域にぶっとんでしまう傾向がありますので、妻に確認してもらっています。(笑)

他の人に見てもらうことは大事ですが、一旦寝かせるという『熟成』という作業も必要かと思います。
早く作って完成させたいという思いはあるかもしれませんが、制作作業を1日程少し離れてみて再度作業に取り掛かると今まで気が付かなかったことに気がついたり、より絵本に深みが増す表現が思いついたりします。

『熟成』というやり方はデザインでも行います。
制作途中はデザインにのめり込んで作業していますが、一旦作業から離れて客観視することでそのデザインを目にするユーザー側の目線になり、色々気がついたりします。

Step6.意見をもとに伝わりにくいところを調整する

他の人の意見をもとに調整していく作業です。
私の場合は、意見すべてをそのまま反映したりはしません。

自分の意図していることが伝わっているのか、伝わっていないか、またはもっといい表現はあるかの部分を調整していきます。
表現として良くない部分はきちんと認める必要があります。プライドは必要ありません。

Step7.絵を制作する(iPad)

絵のラフをもとに描いていきます。

デジタルで描くということは、パーツを分けることができます。
『線』と『塗り』、『背景』と『人物』などを分けることで絵本の修正も楽になりますが、絵本以外の展開でも使うことができます。
私の場合は、SNSやステッカー、ポストカードとして転用しています。
キャンパスの設定は解像度をやや高めに設定しておくのがおすすめです。

一枚絵で描いてしまうとアナログで描くのと変わらないので、部分的に使おうとしてもPhotoshopで切り抜き作業が発生したり、服の色を変えたいという場合も描き直しが必要になったりします。

絵を制作するときに、あらかじめ文章が入るスペースを想定しておけば絵の部分と重なって読みにくいなんてことも避けることができます。
どのページをめくっても同じ文章の位置であれば読み手として読みやすくはなりますが、変化はありません。
作品にもよりますが、文章の位置に変化をつけるのかつけないのかで印象が変わってきます。

Step8.イラストを調整して、Adobe Illustratorでレイアウト(PC)

先ほど描いた絵を画像データ(Jpeg、psd)として書き出し、調整します。

描いた絵をよく拡大してみてみると、はみ出しや塗られていないところがあったりしますので、細かい部分を調整して完成度を高めていきます。画像の調整が終わったら、Illustratorでレイアウト(配置)をしていきます。

最近ではPowerpointで印刷データを入稿できるところもありますが、自由が効くということを考えると印刷データの制作はIllustratorを使った方がよいでしょう。

iPadで絵は描けるけど、画像の調整と印刷データは作れない(Photoshop・Illustratorの使い方がわからない)という方もいるかと思いますので、基本操作の部分は後日記事にできたらと思います。

Step9.全体を誰かに見てもらって、最終調整へ

Step5と同じ工程になりますが、再度他の人に見てもらう必要があります。
この工程では大きな変更はないと思いますが、誤字があったり、ページの順番が間違っていたりする場合があります。

デザインでいうところの『校正、校閲』という作業です。
自分で制作する絵本の印刷部数は少ないですが、デザインのお仕事ですと何百部、何千部と印刷する場合がありますので、大変重要な作業になります。

Step10.入稿データを作って印刷会社で印刷

やっとここまできました・・・。

入稿データを作成するというところについてもボリュームがある内容なので、こちらも改めて記事にできたらと思います。
近くにデザインができる方がいる場合は、入稿データもチェックしてもらうことをおすすめします。

印刷会社によっては、入稿用のデータとして誤りがないかチェックしてくれるところもあるので、そういったところを利用するのもいいかもしれません。

まとめ

ここまできてやっと完成です!
Step10までで簡単にまとめましたが、結構たくさんの工程があったかと思います。

データの作り方の説明は今回しておりませんが、その部分を覚えてしまえば絵本を作れるどころか、ちょっと『DTPオペレーター』に近いかもしれませんが、『グラフィックデザイナー』にだってなれてしまいます。

データは作りたくないという人も、その部分だけをお願いすることで作ることができます。
私も何かデザイナーとして何かお手伝いできるかもしれませんので、困ったらご連絡ください。

話は少し変わりますが、書店で販売されている絵本の値段ってすごくリーズナブルだと思いませんか?(笑)
ハードカバーの絵本(本体)、カバー、帯に分かれていますが、個人で作ると大きな金額になってしまいます。

私の絵本は、表紙が少し厚くてコーティングされているソフトカバーの絵本で制作しています。
個人が出版社と同じ仕様で作ることは難しいので、自分の作品を広めていくには絵本の内容とプロモーションが大事になっていくと思います。

今はSNSやオンラインショップで、自分で集客・販売ができますので昔よりは個人で人気を集めやすいのではないかないでしょうか。

ぜひ、個人で絵本作りをしたいという方は参考にしてみてくださいね。

それでは、また!

※『作者のひっそりブログ』は、過去の作者自身に向けてひっそりと書いているブログです。
記載しているブログの内容はあなた自身の何かの参考にしていただいても構いません。